でも、今日は間に合った。
嬉しい。



「お前、顔に出すぎ。」



そんな私を見て、誠は笑った。



あまりみせないその笑顔は心臓に悪い。
ギャップってやつで。



顔もかっこいいから余計に破壊力がある。



綺麗な二重の線がはいった切れ長の目がクールさを際立たせていて、笑うと少し幼く見えるのだ。



普段めったに笑わない誠を笑わせるのが昔から好きだったりもする。



「だ、だって嬉しいから。」



誠に指摘され、恥ずかしくなって俯く。



そんなに顔に出てるかなぁ?
私って。



「あいつも沙織(さおり)がいたら嬉しくて、いつも以上にうるさいんだよな。」



“あいつ”とは私の好きな人のこと。



「いつもうるさいけどね。」
「まあそれは認める。」



なんて、二人して私の好きな人を軽くたたく。



その後も誠と話しながら、私たちは駅へと向かった。