“好き”がほしくて〜恋人未満のこの関係〜





すると女はさらに耳まで真っ赤にした。
男に免疫がないのだろうか。



「あ、えっと…ごめんなさい……もうどうしたら…」



「仕方ねぇよ。
急に起こされて驚いたんだろ?」



「え……っと……あの、はい……」



なんだか動物みたいだ。
小動物。



女は苦手だけど、なんだか嫌じゃなかった。



それから少しして、女は動き出し片付けを始める。



「あの、本当にごめんなさい!」



片付けが終わるとすぐ、俺に対して頭を下げて謝り出した。



「気にすんなよ。
もう準備できたか?鍵閉めるから。」



「いやいや、そんなの私がやります…!」



「俺がやるって先生に言ったからいい。
早く出るぞ。」



「えっ…そんな……悪いから…!」
「鍵閉めて返すぐらい悪いもないだろ。」



俺がそう言うと、女は少しの間黙っていた。



そして……



「……じゃ、じゃあお願いします…。
ありがとう。」



強張っていた表情を初めて緩ませ、笑った。



その笑顔が何故か印象的で。
心に残るものがあった。



「……ああ。」



その後、二人で図書室を出てからはお互い別方向に歩き出した。



さっきのことをもう一度思い出そうとすると、やっぱりあの笑顔が頭に残っていて真っ先に思い浮かぶ。



そんな自分も不思議に思いながら、俺は職員室へと足を進めた。





【幼なじみの本音と始まり(誠side)】fin