俺のこと、知ってるのか。



女は尻もちをついたことに恥ずかしく思ったのか、途端に顔を真っ赤にした。



だから手を差し伸べる。



「大丈夫か?」
「あ、う……えっと、あの…」



そんな俺を見て、口ごもっている。



どうしたのだろうか。



スリッパの色からして、同じ高二のはずだ。
敬語を使ったり、躊躇う必要はない。



なのに……



「どうした?」
「こ……腰が……」



「は?」
「腰が……抜けちゃって……」




失礼だと、わかっているのに。
俺は思わず笑ってしまった。



「……ははっ、何言ってんだよ。
ほら。」



こんな風に笑ったのはいつぶりだろうか。



そう思いながら俺は女の手を取り、立ち上がらせる。



そしたら本当に腰が抜けたようで、また倒れそうになるから腰を支えてやった。