でも昔とはまた違う。



今はもう、沙織を傷つけたくない気持ちが強い。



それは俺に限らず何に対してもだ。
沙織の泣き顔なんて見たくねぇ。



そんな気持ちになり始めたきっかけは、もうずっと前の話。



それは、中学一年の後半の頃。



『誠、どうしよう……私、好きな人できたかも……』



顔を真っ赤にして、俺に照れながら話す沙織はもうすでに男から人気で。



当の本人は気づいていなかった。