「沙織の気持ちわかってやれよ。
お前だって本当は気づいてんだろ。」



そう言って誠は胸ぐらを掴んでいた手を離した。



「もう全部話してやれよ、沙織に。
話すべきだと俺は思う。」



そして誠は立ち上がって、今度は私を見た。



「……沙織。」
「誠……、ごめん。」



また迷惑かけた。
たくさん迷惑をかけすぎてる。



「謝んなよ、沙織のことだから家上げてると思ってた。


でももういい、ちゃんと優斗と話せ。
な?」



誠の話し方はどこか優しくて、安心する。



「うん……わかった…。」



私が頷くと、誠は少し優しく笑った。



「一応リビングにいるから。
何かあったらすぐ呼べ。」



そう言って誠は部屋を出た。



きっとあっさり誠が部屋を後にしたからだろう、今度は優斗が呆然としていた。



そしてそのおかげか、優斗はようやく信じてくれたようで。