「……仕向けてるんだけどな。」
「え?なんか言った?」



ぼそっと、小さく吐いた優斗の声は私の耳に届かなくて聞き返す。



「なんでもないよ。
行こう。」



「なにそれ、気になるじゃん。」



「隙ばっか見せてたらまたキスするよって言っただけ。」



「なっ……本当、あんたって最低!
この女好き!」



「女の子が可愛いからいけないんだよ。」



なんて、いつのまにか話がずれてしまって結局聞けずに終わってしまった。



それよりも、さっきは本当にキスしに私の元に来たの?



それとも一緒に帰るため?



でも別に行きと同じで帰りも毎回一緒じゃないし、タイミングが合えば帰るだけ。



むしろ一緒じゃないことの方が多い。



それに……



「誠は?」
「今日は別々。」



「ふーん……」



いつもは誠もいるのに。
何だかんだニコイチの二人だから。



まあ、そんな深く考えなくていいかと思い私は優斗と並んで駅へと向かった。