「………っ、だから話聞いてた!?」



好きじゃないのにキスなんてしないでよ!



「聞いてたよ、ちゃんと。
だから沙織の望む通りにしたんだけどな。」



おかしいなー、なんて続ける優斗はまた私に余裕の笑みをみせた。



本当なんなの!?



「人をからかうのもいい加減にして!」



「からかってないって。
それに、さ。


そんな顔赤くして言われたら嫌がってるように見えないよね。」



「なっ……!」



それを言われると何も言い返せなくなる。



だって、事実だから。
好きな人にキスされて、嫌なんて思うはずがない。



だけど同時に私だけが好きなんだなって思い知らされ、それがまた苦しい。



「もう宮川に懐くの禁止。
試合も見に行ったらダメだから。」



「それは無理!
行くって約束しちゃったし……」



ドタキャンなんてできるわけない。



そしたら優斗に大きなため息をつかれた。
な、なんで……?



「……まあいいや。
ほら、帰るよ。」



「え?あ、うん……」



優斗が歩き出したから私もついていく。



隣に行くと自然に手をつながれてしまった。



「優斗、ここ学校!


それにこれとかのせいで私たち付き合ってるって誤解されるんだよ?」



優斗は嫌じゃないの?



それとも、どうでもいいとか。
それならあり得る。



なんて、勝手に一人で思って傷ついてる自分がバカらしくて笑えてくる。