どうしようもなく胸が痛んだ。
いつも通りじゃ、ないのだと。
この瞬間にわかった。
やっぱり何かがあるのだと。
そしてそのままホームルームが終わり、体育館に移動する。
いつもなら優斗は誠の隣で騒いでいるのに……
今日は違った。
たくさんの女子に囲まれ、その中で嬉しそうに笑いながら体育館に目指していて。
「何あれ、いつも『沙織』って言いながら抱きつくくせにね。」
さすがの美香でも優斗の態度には違和感を持ったらしい。
「まあでも、優斗って女好きだし。」
とか言いながら、正直自分を安心させるための言葉だ。
そう、優斗は女好き。
だから今もきっとそうなのだと思いたい、のに……。
「……沙織。」
始業式はほとんど上の空で聞いていなくて、教室に戻る途中誠に呼び止められた。
美香には先に行っててもらい、誠に連れられ人気の少ない場所にやって来た。



