「な、んで……なんでキスなんかしたの！？」



私のこと好きじゃないくせに。



そう思うとやっぱり胸が締め付けられるように苦しくなるけど、表情に出さず我慢する。



「簡単に男に懐いて隙だらけの沙織に忠告してあげようと思って。」



なのに優斗は私の気も知らないで、意味わからないこと言ってくるし。



「意味わかんない！
第一好きじゃないのにキスするとかありえない！」



私は好きなのに。



好きだからキスされたことに受け入れ、ドキドキして、その後苦しくなってるっていうのに。



自分だけがこんな気持ちになったのが悔しくて、優斗の返事を聞かずに歩き出す。



そしたら優斗に腕を掴まれる。



「………はなし……」



離して。



そう言おうとしたのに、言い終える前にまた唇を重ねられた。



今度は触れるだけの、優しいキス。