「なら私の気持ちにもなってよ。
優斗といると心臓がうるさくなって苦しくなる。」
本当のことを言えば、今度は黙ってしまう優斗。
かと思えば抱きしめる力を強めてきた。
「ダメだよそんなこと、今言ったら。
俺をおかしくさせたいの?」
「え…ちょ……苦しいよ。」
「我慢してるの。
じゃないと沙織をめちゃくちゃにしそう。
ヘトヘトになっても離してあげないくらいキスするくらいに。」
そ、それは困る。
さっきのキスでも力が抜けてへなへなだったのだから。
「でも我慢する、俺。
偉いよね本当。」
「自分で言ったから偉くない。」
「えー、沙織厳しい……」
私を抱きしめたまま、優しく笑う優斗。
この時間が本当に幸せで。
ずっとこのままでいたいと思った。
こんな時間がこれから先も続けばいいって思ってたのに……
私たちの関係は、突然影を差し始めた。