「もうすぐ夏休みだね。」
優斗が私に抱きついたまま聞いてきた。
「そうだね。」
「沙織は嬉しい?」
「そりゃ嬉しいに決まってるでしょ。」
優斗としばらく会えないのは寂しい、なんて言ったら調子に乗ってしまうから言ってあげない。
「えー、俺は寂しいのに。
一ヶ月沙織に会えなかったら死ぬかもしれない。」
「バカじゃないの?」
死ぬとか大げさすぎだ。
でも寂しいと言われると嬉しい。
私の存在が優斗にとって大きいのかなって。
「死ぬ、絶対死ぬ。
だから沙織の家行っていい?」
「え…?」
「夏休み多分一回は誠の家泊まるだろうから、その時に沙織の家行く。」
「私の家行くって…そんなの私が誠の家に行けばいいでしょ?」
家に親がいなかったら何するかわからないから、側に誠が必要だ。



