「えー、なんで?」
「なんでって、今朝!クーラー効いてないから暑いの!」
「確かに沙織体温高いね。」
「だから抱きつかないでよ!」
周りは『またやってる。』と言いたげな目で見てくるだけで助けてくれない。
結構本気で困ってるっていうのに。
『またやってる。』じゃなくて『私が可哀想。』って目で見て欲しいせめて。
「沙織ー。」
ぎゅうっと、少し苦しいくらい私を抱きしめてくる優斗。
私の名前を呼ぶ声はどこか甘さのある声で。
自意識だろうけど、行動で好きと言われてるような気分だ。
「もう……」
結局諦めてしまう私は大人しくする。
少し前まではドキドキするばかりだったけど、今は……
余計なことまで考えてしまう。
いや、余計ではない。
優斗のことを深く考えてしまうのだ。