「容姿で好きになったわけじゃない。
最初は悪いイメージだったけど、本当は全然違うくて……
もう今じゃ優斗の全部が好きだよ。」
真っ直ぐ、優斗を見つめる。
すると優斗の目は大きく見開かれた。
少しの間、沈黙が流れていたら
優斗が私の頬に手を添えた。
「……沙織…」
愛しそうに、優斗が私の名前を呼ぶ。
それだけで胸がキュッと締め付けられた。
そのままゆっくりと優斗が近づいてきて、私は目を閉じる。
優しく重ねられた唇から、温もりが伝わってきて。
幸せとか、嬉しいはずなのに、泣きそうになる。
涙をこらえていると、唇が離された。
また、優斗が私を見つめる。
私も見つめ返した。
「なんか、夢みたいだな。」
嬉しそうに目を細めて笑う優斗。
本当に心から笑っているように見える。
だから安心していたのも束の間……
「でも、ごめんね。」
次に優斗の口から放たれたのは、謝罪の言葉で。
ドクンと、心臓が嫌な音を立て、締め付けられるような感覚に陥る。



