まさか見られていたなんて。
「そんな沙織見て、俺驚いたんだ。
他人のためにそうやって必死になる沙織見て。
泣いてる沙織が何より綺麗でだと思ったよ。
血が繋がってなくても、そういう関係が成り立つんだなってその時初めてわかったんだ。」
血が、繋がってなくても。
この言葉がやけに耳に残った。
どうしてだろう。
ねぇ、優斗は今何を考えているの…?
まるで私の心を読み取るかのように、また口を開く優斗。
「さっき、沙織と会った女の人いるでしょ?
あれ、俺の母親。」
やっぱりお母さんで合っていたんだ。
「じゃあ、なんで他人行儀だったの……?」
自然に口から出たこの言葉。
言った後に後悔した。
人には触れてほしくないことだってあるから。
知りたいと思うけど、今の優斗を見ているとそう簡単には聞けない。



