「だって、誠のために必死になって怒ったりして。


そんな誠のことを大切に想ってくれる人がいるのに、なんで誠はこっち側に来たんだって腹が立ったし嫉妬もした。


お前はこっちにくる人間じゃないだろって。」



誠のために必死になって、怒る……?



「もしかして、それって……私、のこと?」



「うん、そうだよ。
沙織のこと、知り合う前から知ってた。」



それもまた、初めて知ることで。



まさか前から知られていたなんて思いもしなかった。



でもそれ以上に……



優斗がそう思っていたなんて、想像もできなくて。



その気持ちを、今まで隠してきたんだ。
私はそれに気づかなかったんだ。



「誠に聞いてもあいつ、こっちに来た理由答えようとしないし


まあ無理に聞く必要はないかって。


理由は人それぞれだからなって、思ってた時に……


沙織が泣いてるの、見たんだ。
どうしてだって言いながら泣いてるところ。」



それを言われて、中学時代のことを思い出す。



確かに私、泣いたことあったな。



なんで誠が不良になったのかわからないし、どんどん悪い方に進んで行って



何言っても聞いてくれないから。