微妙な沈黙が流れる。
どこか気まずい。
でも優斗は私を離そうとしないから、私もまたじっと静かに待つ。
優斗が満足するまでこの状態で構わないと、今は本気で思った。
それで優斗が落ち着いて、少しでも苦しい気持ちが和らぐのなら……
「……俺、さ。
誠が本当に羨ましかったんだよね。」
それは突然だった。
なんの前触れもなく、突然優斗の口が開かれて。
誠の何が羨ましいのか、私にはわからなかった。
ぎゅっと、抱きしめられる力が強くなった気がした。
「あんなにも大切に想われてて、羨ましかったんだ。」
いつもより低いトーンで話すから、調子が狂う。
だからこそ、ずっと抱えていたものがあったんだと理解できた。
返事の代わりに、私を抱きしめる優斗の手に自分の手をそっと重ねた。
私なんかより大きな手も、今はどこか小さく思えてくる。



