ーーー放課後



一人で帰ろうと教室を出たところで誰かが横に来た。



それが誰なのか、見なくてもわかる。
何故なら手をつないできたのだから。



「誠と帰らないの?」
「うん、沙織と帰ろうと思って。」



そう言って嬉しそうに笑う優斗。



これはもしかしたら、チャンスなのかもしれない。



優斗のことを知れる、チャンス。



「ねぇ、優斗って今日暇?」



だから思い切って聞いてみた。



そんな私の言葉に少しの間、目を見張って固まる優斗。



あれ、そんな驚くこと…?



「優斗?」



名前を呼んでみると、優斗の顔が途端に綻び私を見た。



「もしかしてデートのお誘い?
そっか、沙織って意外と積極的なんだね。」



「ごめん、やっぱ嘘で。」
「ダメだよ、二言はないからね。」



最悪だ。
私から聞いたばっかりに調子に乗らせてしまった。