その後もしばらく攻防が続いたけど、結局腕を引かれて座らされてしまう。
「いつもこんなことしてて飽きないの?」
半ば呆れ気味で聞いてみた私。
本当に軽い気持ちだった。
だけど……
「俺から飽きるなんて絶対ないよ。」
まるで、私がいつか飽きるかのような言い方をする優斗に違和感を覚えた。
「だって沙織が可愛すぎて今にも俺死にそうなのに。」
また抱きしめる力を強くする優斗。
気のせいじゃ、ないのかもしれない。
もしかしたら今までにもこんな風に違和感を感じるようなことがあったかもしれない。
ただ私が気にしてなくて気づかなかっただけで、ありえるかも。
「あれ、今日の沙織いつもと違う。」
その言葉に一瞬ぎくっとするけど、平静を保とうと心を落ち着かせる。
「そう?気のせいじゃない?」
「んー、そっかぁ。」
信じてくれた、のかな?
少し安心したらタイミングよくチャイムが鳴って先生が入ってくる。
そしてようやく優斗が私から離れて解放されたのだった。



