「でも私、全然知らない。
優斗のこと、知らないよ?」



なのにこんな私でいいの?



「だったら余計優斗のこと知ってやれよ。
自分から踏み込めばいいだろ。」



「そ、それでもさ……私じゃないとダメなの?」



今更不安になってきた。



こんな私が優斗に近づいていいのかって。



「当たり前だろ、そんなの。
優斗は正直、沙織しか見てねぇよ。」



その言葉は嬉しいはずなのに、今はなんだか複雑だ。



そんなに想ってくれてたとして、どうして私はもっと優斗を知ろうとしなかったのだろうって。



でも今更急に優斗のこと聞くのも不自然だ。



昔の自分に後悔を覚える。



「そんな顔すんなって。
そんな顔したいから沙織に話したんじゃねぇよ。


優斗を任せたぞって話。」



誠はそう言って私の両頬を軽くつねる。



「うー……」



「まあ別に急ぐ必要はねぇよ。
急にこんな話して悪かったな。


いつか沙織には言おうと思ってたから。」



「うー……」
「なに唸ってるんだよ。」



唸ってるもなにも、頬つねられてるから喋れないんだけど!?



なんかもう誠のせいで私の精神状態不安定だよ。