「優斗に近づいてくる女はみんな、優斗を必要としてくれてる。
だから、自分の存在を肯定してくれてるように感じるからなんだよ。」
一瞬、誠の言葉の意味がわからなくて
理解に遅れてしまう。
自分を必要としてくれる?
自分の存在を肯定してくれる……?
「どう、いうこと…?」
「俺たちはずっと恵まれた環境にいる。
まあ今の優斗はそうなんだけど、昔が違う。
だから気づいてないんだよ、優斗自身。」
優斗の、昔。
そういえば私、優斗のこと全然知らないのかもしれない。
不良グループにいたのは確かだからこそ、なんとなく昔を聞くのが怖かった。
本当は、優斗が好きならちゃんと聞くべきだったというのに。
「そんなあいつの心理状態で沙織の存在は大きいから……
沙織しかいねぇんだよきっと、優斗を救えるの。」
誠の言葉を頭の中で繰り返す。
優斗を救えるのは私?
いつも優しく笑ってる優斗には、ずっと抱えているものがあるっていうの?
何、それ……もし本当だとしたら私知らない。
優斗のこと、全然知らないんだ。



