「降ろすぞ。」



少し歩くと誠が口を開き、私をゆっくり降ろした。



これって目開けていいの?



でもまだ開けるなって言われそうな気がするし……



大人しく目を閉じていると、誠が軽く笑った。



「沙織いつまで目閉じてんの?」
「はい?もう開けていいの?」



「降ろしたからいいってことだろ普通。」
「理解力がないんだからちゃんと説明してよ。」



なんて言いながら目を開けると、周りは明るくて眩しいため目がチカチカした。



うっ、この感じ嫌い……!



少ししてようやく目が慣れると誠を見る。
幸い、見た感じ誠には怪我がなくて安心した。



「誠、怪我してない?」
「してねぇよ。」



「本当?でも、怪我は大丈夫だったの?
絶対痛かったよね?」



朝に見た痣の怪我。



少し触れただけで痛んでいたから、きっと相当痛かったはず。



「ああ、別に他のことに集中してたら怪我のことなんて忘れてた。」



忘れてたって言っても、今は痛いよね絶対。



「……助けてくれて、ありがとね。」
「別に、巻き込んで悪かったな。」



そんな中、私を守ってくれたのだ。



喧嘩はしてほしくないけど、私を守ってくれたのは事実で。



でも……



『お前らは必ず俺たちが倒してやる。』



この言葉が引っかかってならない。