仕方なく誠にしがみつく。
どれぐらい進んだかわからないでいると、突然……
「と、うざき……」
掠れていて、聞き取りにくい声が誠の名前を呼んだ。
多分、喧嘩した相手だろう。
誠は立ち止まった。
「“お前ら”は、必ず俺たちが…倒してやる……」
え……?
お前ら?
倒して、やる……?
意味がわからなかった。
その言葉の意味が。
なんで誠は狙われてるの?
それに、お前らってどういうこと?
誠と同じような狙われる境遇にある人間がいるって、こと…?
ふと、優斗の姿が頭に浮かんだ。
でもそれは違うと否定するように、その考えはかき消した。
でも誠は何も答えずまた歩き始める。
私はただじっと、誠にしがみつくことしかできない。



