「だから沙織、目は閉じたまましっかり掴まっとけよ。」
「え?それってどういう……きゃ!?」
誠の意味深な言葉に対し聞き返そうとしたら、身体がふわりと宙に浮いた。
思わず声が出てしまうけど、この体勢ってもしかして……
いわゆるお姫様抱っこってやつでは……!?
身体が横になっていて、誠に軽々と持ち上げられたのだ。
「ま、誠……!?」
「掴まっとけって。」
「ち、違……!えっと…」
「だから目を開けようとすんなって、いい加減聞けよ。」
何故か誠に怒られてしまう。
でもこの体勢はさすがに…!
少し降りようとし、暴れてみるけどこれまた力が強くて敵わない。
「諦めろ、バカ。
行くぞ。」
どうやら諦めるしかないようで。
誠が歩き始める。
だから私も諦めて誠にしがみつく。
なんでこんな目に…?
ドキドキうるさいし、全身あつい。
お姫様抱っこなんて、恥ずかしすぎる。
人があまりいない道を通るだけマシか。
って、いつ降ろされるの私?



