目を瞑り、耳を塞いでいるからか。
少しの時間がとても長く感じて時間感覚がわからなくなってきた。
どれくらい経ったのだろうか。
わからない。
男の大きな声が一切聞こえなくなって、音がなくなった。
無音で暗闇の中、それが不安に感じてとても怖くなる。
誠は?
もしかして、やられてる…?
なんて悪い方に考えていたら、突然後ろから手首を掴まれた。
思わず声が出そうになる。
誰?
もし誠じゃなかったら……
怖くなってどうしたらいいのかわからなくなっていると、後ろからほのかに誠の匂いがした。
その瞬間、一気に安心感が広がりなぜか泣きそうになる。
手を操られ、ゆっくりと耳から私の手が離れた。
「悪い、待たせたな。」
「………っ。」
誠の、声だ。
本当に無事だったのだ。
良かった、良かった。
誠が無事で、本当に……
「……っ、誠…!」
目を開け、振り向こうとしたら、何故か誠の手で私の目が覆われる。
また真っ暗になる視界。
「今後ろ向くな、バカ。
あんまり見たくねぇだろ?」
あんまり、見たくない……?
ということはもしかして、後ろには誠が倒した男の人たちがいるって、こと?
「男の人たちは、どうなったの…?」
「逃げるかなって思ったけど、案外しぶとかった。で、今は倒れてる。」
倒れてる。
じゃあやっぱり誠が倒したわけで。
あまり実感が湧かない。
だって相手は四人もいたんだよ?
それなのに誠は一人で喧嘩して、倒したわけで。
それって相当強いってこと。
もう、不良はやめたのに……?



