“好き”がほしくて〜恋人未満のこの関係〜





「……誠。」
「ん?」



「お腹すいた。」



じっと誠を睨む。
私は今不機嫌アピールをしているつもり。



「確かに時間微妙だったしな。
どっか店入るか。」



「うん。」
「ほら、奢ってやるから機嫌直せ。」



よし、その言葉を待っていたんだよ私は。



「……やった!」
「おい、沙織おまえ」



「奢るって誠言ったからね!
奢らないと許さないんだから!」



試してきたからこっちは
はめてやったもんね!



「お前、やることガキか。」



「ガキで結構!ほら、行くよ。
今は洋食系の気分だなぁ。」



「……わかったよ。」



やれやれ、と呆れ顔をしてるけど気にしない。



ちゃんと誠はついてきてくれるわけで。



私の行きたい店に入り、そこでご飯を食べた。



もちろん誠に奢ってもらいましたとも。
それですっかり私の気分は良くなった。



そして店を出る私たち。
でもまだ外は明るくて時間も早い。



だからといってやることないし……



「誠どっか行きたいところある?」
「別にない。沙織は?」



「私も別にないかな。」
「じゃあ……行くか。」



私は帰るという意味でその言葉をとらえた。



でもどうやら違うようで……



「誠、駅そっちじゃないよ?」
「いいから、ついてこい。」



誠がそう言うから仕方なくついて行く。