“好き”がほしくて〜恋人未満のこの関係〜





ーーー「沙織。」



「……。」
「そこまで怒るなって。」



怒るに決まってるでしょ!



あの後、映画館を出るなり先々歩く私。
その後ろを誠がしっかりついてくる。



足の長さが違うからね、一歩の大きさが違う。



だからすぐ追いつかれるという。
悔しい…!



「おい、先歩くな。
見失う。」



そう言って誠は私の服をがっつりと掴む。



「ちょ…!
服引っ張らないでよ!」



そういえばつけられてるんだっけ?



人が多くてわからない。
そもそも本当につけられてるの?



からかわれた後だから信じがたい。



「じゃ、先行くな。」
「わかったから力強いって!」



手加減を知らない誠は優しいのか優しくないのかわからなくなってきたよ!



そんな私を見て、軽く笑いながら離された。



その笑い方腹立つ…!