“好き”がほしくて〜恋人未満のこの関係〜





何かいい対処法はないか、なんて考えてみるけど思いつかない。



「なぁ、沙織映画観なくていいのか?」
「あっ!本当だ…!」



考え込んでいたら誠に声をかけられてはっとする。



また映画観るの忘れてたよ。



スクリーンを観るとすっかり濃厚なシーンは終わっていて。



ラストに向けて感動するシーンがまだまだあるっていうのに!



ダメだ、こんな時まで優斗のこと考えてるとそれこそ変態になっちゃうよ。



そう思い、また映画に集中し直した。






ーーそして……



「……うう……」
「なぁ、そろそろ出たいんだけど。」



「だ、だっで……感動したぁ……!」



映画が終わった時、私の瞳は涙で濡れていた。



号泣だよ。
まさかこんなラストが感動的だなんて…!



ただの恋愛映画じゃない、これは。
本当に良かった…!!



でも余韻に浸る私は涙が止まらなくて。
その場から動けない。



誠はそんな私を見てだいぶ迷惑そうな顔をしている。