「……なんだよ。」
そんな私の視線に誠は気づいたようで、怪訝そうに私を見た。
「いや、おかしいなって。」
「何が。」
「誠がこんな恋愛映画観てるなんて。
女子に言ったら騒がれちゃうね。」
「どうでもいい。
第一沙織、寝たら起こすだろ。」
確かに誠の言う通りかもしれない。
寝てたら起こしちゃうかも。
「……んー、でもなぁ。
誠の寝顔可愛いからな、起こさないかも。」
そう。
誠にはまだギャップというものがあるわけで。
寝顔も可愛い。
本当に子供のようで可愛い。
「沙織、さっきから可愛いって言い過ぎ。
うぜぇ。」
あ、不機嫌になった。
確かに男に可愛いは禁句かもしれない。
「でも誠の寝顔ってみんな見れないんだよね。
誠、学校で寝ないから。」
幼なじみの特権とはこういうことか。
「沙織と一緒にすんな。」
あっ、今私のこと見下してきた。
まあ寝ちゃうっていうのは事実なのだけど。
そんな優斗みたいに、いつもじゃないから!



