“好き”がほしくて〜恋人未満のこの関係〜





ギブアップをアピールするため誠の手首を掴む。



そんな私を見て、誠は意地悪そうな……いや、何か楽しそうなおもちゃを見つけて嬉しそうな子供のように笑った。



可愛いけど!
その笑顔は可愛いけど力は男だから!!



「………。」



しまいには抵抗をやめ、大人しくする。



ていうか映画始まったんですけど。
誠さん?私、観たいんですけど。



今度はじーっと誠を睨み、訴える。



「……ははっ、全然怖くねぇ睨み方だな。」



すると誠は笑って手を離してくれた。



「……そんな可愛く笑っても無駄だから!
力強すぎて痛かったんですけど!?」



「可愛い言うな。
沙織が騒ぐからだろ。」



「それは誠が……」



そう言いかけたら、人差し指を私の唇の上に添えられる。



「静かに。」



今度は優しくて、館内の暗さのせいか色っぽく感じてドキッとしてしまう。



最近、誠も男なんだなって実感させられることが多い。