「……沙織。」
誠の息が、私の耳にかかる。
思わず身体が反応するわけで。
いきなりどうしたんだろう。
冷静に、と思いつついくら幼なじみであれ相手は男だ。
思わずドキッとしてしまう。
「な、なに……?」
何を言われるんだろうと、少し戸惑っていたら……
「よく聞け。
今日は絶対俺から離れるな。」
低く、真剣な声が私の耳に届いた。
誠から離れるな?
それって一体どういうこと?
「何があっても一人になるなよ。
わかったか?」
いや、わかったも何も意味がわからない。
でも誠は真剣で、私の肩を抱く手に力が入っていたからただ事ではないということはわかった。
「わ、わかったけど……呑気に映画観てて大丈夫なの…?」
「まあ、ここまできたら同じだから。」
え、何その半ば諦めたような言い方は…!?
途端に怖くなって顔を上げると、至近距離に誠はいて。
少し誠は目を見張ったかと思えば、今度は優しく微笑んだ。
「大丈夫、守るって言っただろ。」
何故かその言葉に安心感を覚えた。
ああ、大丈夫だろうなって。



