ーーー「うわぁ、すごい人だね。」
映画館に着くと、土曜日のためそこは人で溢れかえっていた。
とにかく多い。
映画の時間まであと三十分くらいあった。
余裕持ちすぎたかな。
「あの人かっこよくない?」
「ねー、隣の彼女も美人!」
そんな中、多くの人から視線を向けられていることに気づく。
って、私じゃなくてみんな誠を見てるのだ。
「誠はどこにいても人気者だね。」
「は?視線がうざいだけだろ。」
当の本人は居心地が悪そう。
「いーじゃん。
存在感があってさ。
みんなから注目されるのってどんな気分?」
「どんな気分って、沙織も一緒だろ。」
「……はい?」
私も一緒?
ごめん、意味がわからない。
「言っとくけど沙織が気づいてないだけで、男は沙織見てるから。」
「……ん?
何言ってるの?
そんなことないでしょ!」
「沙織って本当にバカだな。」
「ば、バカって……!」
どうしてバカ呼ばわりされないといけないの!?



