“好き”がほしくて〜恋人未満のこの関係〜





本当に大丈夫なのかな。



まだ、躊躇ってる自分がいた。



「じゃあ沙織にいいこと教えてやるよ。」
「いいこと?」



この状況でいいこと言われても、よっぽどじゃない限り私は喜べない。



「優斗、昨日ずる休みらしいから月曜は絶対来るって。沙織に会いたいうるせぇよ。


だから暗い顔する沙織見てもブサイクだって引かれるだけだぞ?」



「なっ……!」



この状況で優斗の名前が出て、私に会いたいと思ってくれてるのは素直に嬉しかった。



でも普通ブサイクで引かれるって、今言う!?



「せっかく人が心配してるのに!」



「ん、やっといつもの調子に戻った。
早く行かねぇと映画間に合わないぞ。」



誠が部屋を出ようとするから慌てて私もついて行く。



私の扱いに慣れてる誠。



すぐこうやって私を元気に、いつも通りにしようとしてくれる。



その優しさが温かくて……



いつも通りの誠に安心した。



だから私も、いつも通り接しようと思いながら部屋を出た。



「誠。」
「なんだよ?」



「ありがとう。」



私はそう言って笑った。
自然に心から笑えた。



そんな私を見て誠は……



「沙織も心配してくれてありがとうな。」



と言って、幼い笑顔を浮かべたんだ。