「痛くてもそんな安静にするほどじゃねぇよ。
それに映画行きたいんだろ?」
「行きたいけど、誠の身体の方が優先。」
とっても不安。
誠が無理してそうで。
私の知らない誠がいて。
「……そんな顔すんの、優斗のことだけにしろよ。
俺のことでそんな思い詰める必要ねぇだろ。」
「だって、大事な人だから…!
恋愛感情なんかなくても、誠が大切なのに変わりない。
誠も私のこと、好きじゃないのに守りたいって言ってくれたでしょ?
それと同じだよ。」
私がどれだけ誠に支えられてきたか。
その上数え切れないほど誠を頼ってきた。
「それ言われたら何も言えねぇな。」
誠が笑う。
いつもの幼い笑顔じゃなく、大人びた笑顔で。
心から笑ってない証。
困ってるんだと思う、こんな私をどうするか。
「心配させて悪かった。
でも本気で大丈夫だから。
ほら行くぞ。
そろそろ時間だろ。」
誠が先に立ち上がる。



