「なんで沙織がそんな顔するんだよ。」
「だって……」



誠の手が伸びてくる。



その手が優しく横になる私の頭を撫でた。



「らしくねぇな。」
「さすがにこの状況で笑えないよ……」



そこまでバカで明るい人間じゃない。



私は起き上がって誠の隣に腰掛けた。



じっと誠を見つめる。
その瞳はやっぱり揺るがない。



誠も真っ直ぐ私を見つめてくる。
どうしてそんなに強いんだろう。



その時、そっと優しく誠の怪我した部分に触れてみた。



すると一瞬、誠の眉がピクリと動き、顔を歪める。



やっぱり我慢してるんだ。



「今日、やめとこっか。
ごめんね、せっかく準備してくれたのに。」



悪化は、痣だから多分しないと思うけど
安静にしとかないと治らない気がする。



「は?なんで今更。」
「だって痛いでしょ?」



それなのに無理強いはさせられない。