少しの間目を閉じていると、また部屋のドアが開いた。
誠が戻って来たのだ。
するとベッドの端に誠が座る音がした。
「沙織さ、気にしすぎ。」
私の心情を読み取ったのだろう。
また優しく声をかけてくれる。
顔だけ横にしてみれば、誠が少し後ろに座っていた。
私の方を見ずに背中を向けている誠。
綺麗な横顔が目に入る。
そんな誠が私の方を向いた。
「誠……」
「ん?」
気のせいかな。
いつもより誠の声が優しい。
「優斗もまだ、喧嘩に巻き込まれたりするの?」
私が恐る恐る聞くと、誠は間を空けることなく口を開く。
「それは俺にはわかんねぇ。」
嘘、だと。
すぐにわかった。
誠は嘘をついている。
本当は知ってるのに。
でも、自分からは言えないからって
はっきりと否定はせずに濁す。
きっと、それは逆を意味する。
優斗も、まだ喧嘩をしてるのだと。
どうして?
どうして今はちゃんと更生してる二人がまだ喧嘩をしなくちゃいけないの?
それぐらい中学の時に悪いことしたから?



