「そんな顔すんなよ。
大丈夫だって言ってんだろ。」



誠はそう言って笑った。
きっと、私を安心させるように。



「じゃあ、すぐ用意するから待ってろ。」



それだけ言い残し、誠は部屋を出た。



静かになった部屋。
さっきの大きな痣が頭に浮かんでしまう。



結構ひどかった。
多分相当痛いと思う。



なのにここ最近だって誠は痛そうな顔とか一切してなかったし、私と平気で一緒に行ったりもしてた。



もしかして、今までもそんなことがあった……?



「私に、隠してる……?」



優斗、だけじゃないんだと。
この時初めて知った。



私は幼なじみである、誠のことも知らないのだと。



モヤモヤが広がって、それをかき消すかのように誠のベッドにダイブする。



誠の匂いがする。
落ち着く、優しい香り。




もしかして、優斗も…?
優斗も誠と同じように喧嘩を売られたりしてるの?