ーーー昼休み
「あ、そうだ。」
「どうしたの?」
「美香って明日、暇?」
お母さんに映画のチケットをもらったのを思い出し、私は美香に聞いてみる。
「ごめん、明日は用事があって無理だ。」
「そんな……!」
美香が無理なら誰を誘おう。
いきなり中学の友達とか誘っても、いけるかわからないしな。
部活やってる子も多いし……って、もしかして私ぼっちで映画行かないといけない感じ?
それは悲しい。
「何かあるの?」
「お母さんに映画の無料券もらったから観に行こうと思って。」
「あー、それは行かなきゃ損だもんね。」
「だよね…。」
その時ちらっと優斗の席を見る。
「今日優斗来てくれたら誘ったのに。」
行けるかわからないけどさ。
もしかしたら行けたかもしれない。
「タイミング悪いよね、加賀も。
せっかく愛しの沙織がデートに誘おうとしてたのに。」
「な……!
で、デートじゃないから……って、ああ!」
「え?どうしたの?」
「すっかり忘れてた!
もう一人いたじゃん、それも無理矢理誘える相手!」
「え?それって誰?」
美香が不思議そうに私を見る。
そうだ。
すっかり忘れてたよ。



