「……ゆ、うと……」
「もう、泣かないでよ。
そんなに寂しかった?」
顔を綻ばせる優斗。
そんな優斗に対し、また涙を流しながら私は素直に頷く。
「……可愛い。
俺も寂しかったよ。沙織不足だ。」
そう言って優斗が私を抱きしめる。
優しく、温かい。
電車の中で目立つのに、それどころじゃなかった。
誠のため息が聞こえてくるけど、今日だけは許してほしい。
「沙織がおとなしい。
可愛いなぁ。」
すっかりいつもの調子に戻った優斗。
今まではなんだったんだ。
本当に不安と心配で仕方なかったんだから。
「でも俺が沙織泣かせたんだよなぁ。
ごめんね、本当に。」
優斗が腕の力を強める。
苦しいけど今の私にはこれぐらいがちょうどよかった。
「優斗のバカ。」
「ごめんね。」
「許さないからね。
ずっと不安だったんだから…」
「これはもう償わないといけないな。
これからはまたいつも通り一緒に行ったり帰ったりできるからね。」
「うん……」
嬉しい。
またいつも通りになれることが。



