そして、テスト当日の金曜日。
みんな席に着いているのにやっぱり優斗の席だけ空席で、来ていなかった。
先生がテストを配布する準備を始める。
テスト開始まであと一分。
そんな時、教室のドアが開く音がした。
私はすぐドアに視線をやると、そこから……
「……っ!」
優斗が入ってきた。
久しぶりに見た優斗の姿。
みんな優斗に視線をやる。
でもテスト開始まであと少しのため、誰も声をかけられない。
それだけでなく、優斗がどこかいつもと違う雰囲気を纏っていたからだ。
テストが始まる。
開始十分、優斗の方をちらっと見ればもう机に顔を伏せて寝ていた。
寝ることはあるけどテスト始まってすぐに寝る?
今日は三時間だったけど、残りの二時間も最初の十分で問題を解いてあとは寝ていた優斗。
やっぱり何か変だ。
でもあまり見すぎたらカンニングを怪しまれるから私も自分のテストに集中しなおす。
その後、三時間のテストが終わるなり優斗は誰よりも早く教室を出て帰っていった。
誠を置いて。
だから余計に追いかけることなんてできない。
……いや、それは言い訳だ。
いつもと違う優斗に声をかけることができなかったんだ。



