優斗は電話越しで笑った。



その笑い方が何故か違和感を覚える。



なんか、少し違う?
確かに電話してくるのも変だ。



本当に私の声が聞きたかっただけなの?



「ねぇ、ゆう……」



『………っぞ!
……い……た!』



その時、電話越しに途切れ途切れ誰かの声が聞こえてきた。



うまく聞き取れないけど声を張り上げているようにも感じる。



優斗は今家じゃない…?



「優斗、今家じゃないの?」
『まあ、うん。そうかな。』



「ねぇ、じゃあどこに」
『ごめん、電話切るね。沙織の声聞けたから頑張れる。』



「え?ちょ、待ってよ優斗……!」



私の声が届くことなく電話が切られた。



優斗の声が聞こえなくなり、また静かになる部屋。



あまり、いい気がしない。
優斗が言葉を濁したってことは、絶対何かある。



そもそも頑張れるって何?
今何をしてるの?



不安が胸の中で広がる。



そんな時こそ不安は的中するもので……。