ーーー夜、十時頃。
部屋で勉強してらいたら突然、スマホが振動した。
「……誠かな。」
誠からだとしても珍しい。
なんて思いながら画面を見ると……
「……え…?」
確かに画面には“優斗”と表示されていて。
どうして優斗から?
電話なんてほとんどきたことないのに。
少し不安になりながらもスマホを耳に当てる。
「も、もしもし?
優斗?」
不安か、緊張からかはわからなかったけど声がうわずってしまう。
『……ふっ、そうだよ、俺。』
そんな私の声を聞いて、優斗が笑った。
電話越しに、優斗の優しい声が聞こえてくる。
「いきなりどうしたの?」
こんな時間に電話なんて、何かあったのかな。
『んー、やっぱ学校だけだったら寂しいなって思ったら沙織の声が聞きたくなった。』
ストレートにそんなことを言われて、胸が高鳴らないはずがない。
「何それ。
テスト期間だけど勉強は?」
『してるけど常にしてるわけじゃないし、息抜きってやつで。』
「……そんなんだから一位とれないんだよ?」
『誠には勝てないよ、努力家だし。
一回勝てたのが奇跡だなぁって。』
いや、常に二位の優斗も十分すごい。



