「絶対誠に頼ってやるもんね!
優しいから聞いてくれるくせに。」
「うるせぇ、喋るな。」
「絶対に嫌!
私が何でも話せるくらい心許せるのは誠しかいないからね!
恨むなら私と家が向かいになったことを恨め!」
そうだ、私は悪くない。
それに優しい誠も悪い。
だから今も昔からの幼なじみ、としていられるのだ。
親友みたいな感覚かな。
「なんで俺、沙織と優斗のために時間使わねぇといけないんだよ。」
「それも運命だ。」
「黙れって。ていうか早く終わらせろよ。」
終わらせろ、とは作業のことだ。
なんと誠はもう終わっている。
「ちょ、待ってよ!
なんでそんなに器用なの!?」
「沙織がべらべら話しながらやってるからだろ。」
「なっ…!こうなったらすぐ終わらしてやる!」
有言実行の私はその後すぐ終わらせた。
「よし、あとは先生に渡すだけだ!
誠、ありがとう!」
「別に。ほら、行くぞ。」
「あっ、うん!」
別に、なんて言いながら本当は嬉しいくせに。
ストレートにお礼を言われたら嬉しいよね。



