「試してみる価値はあるってば。
全く、沙織はどうしてあんな近くにいる東崎を選ばないかねぇ。
真面目だし、クールだし、学年一位だしスポーツもできるし。」
美香はちらっと誠の方を見てそう言った。
確かに誠は完璧だ。
賢いからほぼ毎回学年一位だし。
一回だけ一位じゃなかった時がある。
その時の一位は優斗だったわけで。
あそこの二人は容姿も頭も学年ツートップという完璧な人間なのだ、恐ろしい。
「東崎は女嫌いでしょ?
その上ポーカーフェイスだし。
だから女子はみんな、幼なじみである沙織に感謝してるんだよ?」
「……え、なんで?」
またわけのわからないことを言い出す美香。
女嫌いでポーカーフェイスなのは誠でしょ?
なんで私が感謝される必要なんか……
「学校で東崎が笑う時って沙織と話してる時だけなんだよ。
その笑顔の破壊力はすごいことくらい私でも認める。
だから女子は、そんな東崎を笑顔にしてくれる沙織に感謝してるってわけ。」
へ、へぇ………全然知らなかった。
高二になって初めて知ったよ。



