“好き”がほしくて〜恋人未満のこの関係〜





「なあ誠、それってお前も」
「守りたいから好きって繋げられでも困る。」



誠はここでバッサリ言い切った。



「じゃあ違うのか?」



「だから幼なじみって呼び名があるんじゃねぇのか?


恋愛感情はないけど守りたいって思うのは。
それにお前らが沙織のこと気にする必要はねぇよ。」



それだけ言って誠は歩き出してしまう。



や、ば……!
こっちくる……!



逃げようにも逃げられなくて、誠が曲がった瞬間私と目が合ってしまう。



「……沙織…」



目を見開いて驚く誠。
そ、そりゃそうなるよね…。



「あ、あはは……誠が喧嘩売られてるのかなって思ったら身体が勝手に動いて……


聞くつもりはなかったんだよ?
あは、あはは…」



棒読みになってしまう。
まさかバレるとは思ってなかったから。



「………はぁ。
本当にタイミング悪すぎ。」



誠はため息をついて、私の持ってる書類を取り上げ歩き出した。



「ちょ、誠……!?」
「担任に雑用押し付けられたんだろ?」



「そ、そうだけどなんで誠が持つの…!?」
「なんでって、二人でやった方が早く終わるだろ。」



どうやら誠は手伝ってくれるらしい。
あれ?でもさっきの話はスルーってこと…?