「あいつが異常だなんて、近くにいる俺が一番知ってんだよ。」
「じゃあなんで何もしないんだ?
いつか森下縛りつけるぞ、あいつ。」
宮川はいつになく真剣な表情をしていた。
「今は大丈夫だ。
優斗はまだ、その段階までいってない。」
「なら尚更今が……」
「さすがの俺だって黙ってねぇよ。
沙織傷つけてるやつはたとえ優斗であっても俺は許さねぇ。」
誠の怖いくらい真剣な横顔が視界に映る。
そんな誠を見るのは初めてだ。
誠に対して怖いと思うなんて、今までなかった。
「でも無理矢理引き離してどうする?
沙織の意思だって尊重しないといけないだろ。
だったら俺が、近くで沙織を守るしかない。」
誠の言葉に宮川たちだけでなく私も戸惑って固まっている。
誠、そんなこと考えていたの……?
全然気づかなかった。



