“好き”がほしくて〜恋人未満のこの関係〜





「俺が森下を試合に誘った時さ、優斗同じところに来て森下にキスしたんだ。


その時俺の方見てあいつ、勝ち誇ったように笑って。」



勝ち誇ったように笑う…?
優斗、私にキスしてた時そんな顔してたの?



そんな宮川の言葉に対しても誠は表情一つ変えない。



でも今は面倒くさそうではなかった。
真剣に話を聞いているように見えなくもない。



それよりも優斗はもう帰ったのかな?
一人の誠を男子たちは捕まえたのか。



「その後部活帰りに優斗、俺の帰り道にいたんだ。俺を待ち伏せしてて…」



待ち伏せ?
でも優斗、あの日は私と一緒に帰った。



どういう、こと?



ドクンッと、心臓が嫌な音を立てる。



「優斗は俺の家を知るわけなかった。
でもいたんだ、確かに優斗が。


そしたら急にすごい力で胸ぐら掴まれて、壁に押さえつけられて。


部活してて鍛えてる俺でもあいつには一切敵わなかったんだ。」



嫌な汗が流れる。



宮川はこれから何を話すんだろう。
聞かない方がいい気がする。



でも身体はいうことをきかない。



「そしたら優斗、今度腕掴んできて


『折られたくなかったら今後一切沙織に近づくな』って言われたんだ。


『試合出られなくなるけどいいのか』って脅されて、あいつ本気だった。


異常だよ、あいつ歪んでる。
このままじゃ森下が被害にあう。


誠、お前幼なじみなんだろ?
じゃあ森下になんとか言ってやってくれないか?」



宮川の言葉が、はっきりと耳に届く。



でも理解できなくて思考は停止したまま。