奏時と葉汰が出会ったのは、0歳。

奏時は、今では想像もつかないやんちゃだった。

なぜなら、葉汰が弱虫で守ってあげないといけないと考えていたからだ。

それは、小学2年生の頃だった。

「また、喧嘩してきたのか」

もう、葉汰も弱虫を卒業していたが、奏時は、喧嘩大好きのままだった。

「保健室行くよ」

「やだ。死にたい。だって今までようちゃんのために、悪いやつと戦ってきたんだ。だけど、悪いやつに仕返ししたって、何も変わらないんだ!だから僕に仕返しが今度は来るんだ!」

「カナ?」

「僕は、強いようちゃんなんて見たくない!」

奏時は走って行った。

(カナ、どうしたんだろ)

「塩谷のやつ、案外弱かったな!」

そんな時、6年生の会話が聞こえてきた。

(カナのことだ)

「俺、パンチ2発食らわしたぜ」

(カナをいじめたやつらか)

葉汰は、怒った。
「こら!!年上が小さい子いじめてどうするんだ!お手本だろ、6年生は!」

「なんだと、てめぇ!」
殴られると思ったが痛くなかった。
目の前には奏時がいた。

「ようちゃんと喧嘩してもいいのは、僕だけだ!ようちゃんを守るのは僕だ!」

「カナ…」

6年生は、逃げだし、葉汰と奏時は大泣きしていた。

「ごめんね、ようちゃん、いらないなんて嘘だよ」

「カナ、死にたいの?」

「うん。だって、もう、必要ないし、僕」

バシッと気づけば葉汰は奏時を叩いていた。

「カナのばか!簡単に死ぬなんて言っちゃだめなんだ」

「ようちゃん?」

「僕は、お父さんの顔もお母さんの顔も知らない!思い出せないし、話したくてもいないんだ。」

「…ごめん」

「カナが僕と一緒にいてくれて、守ってくれて嬉しいよ。だけど、死んだらもう話せない。そんなの嫌なんだ!カナとずっとずっと一緒にいたいよ」

「…ようちゃん。大人みたいな言葉」