「…じゃ、じゃぁ奏時」

「うん。また明日」

静かに今日何回目か数えきれないキスをした。

「頑張って、葉汰」

ガチャっとドアを開けた。

「ただいま」

家に帰ると、花緒は、ちょうど玄関にいた。

「お帰り!何突っ立てるの?」

花緒は、黙って立ち尽くす葉汰を不思議に尋ねた。

「あのさ、姉ちゃん。兄ちゃんもいる?」

「うん?いるよ。兄貴!葉汰が呼んでるー」

花緒の声かけで龍汰が来た。

「どうした?」

龍汰は、だらしなく、腹をボリボリしながら歩いて来た。

「兄ちゃん、姉ちゃん。俺は変な子です。実はお俺奏時が好きだったんだ。男なのに男が好きなんだ。でも、ゲイじゃない。2人は父さん、母さんの自慢の子だ。だから、こんなことは、ダメなんだ。けど、今日俺は奏時とりょ両思いになった」

花緒も龍汰も静かに聞いた。

一言目を発したのは、龍汰だった。

「初めてだなお前。いつも、俺たちに気を使って、嘘くせーって思ってたよ」

龍汰は、おめでとう。よかったなあっと頭をなでた

「お兄ちゃん。葉汰の初恋だよね」

葉汰は、玄関で龍汰と花緒に抱きしめられ、泣いた。


父さん、母さん、俺たち3人はきっと、もう大丈夫だよ