こんなに暑いのに、手を掛けた屋上の重たい扉はひんやりと冷たい。


それを目一杯、ストッパーがかかるまで押し開けて、私はうだる暑さの屋上、時計塔の真下に降りた。


日差しが容赦なく照りつけ、暑さと眩しさにしかめた目に反射的に手で日陰を作った。


太陽に近づいた分、地表にいた時よりも日差しが強さを増したと思うのは、きっと気のせいではないだろう。



「あっついなー」



見渡せば、だだっ広い屋上のコンクリートの床が暑さでうねっていた。


その床を時計塔を中心に、一段高くなったコンクリート壁の上に設置された落下防止の柵がぐるりと囲っている。


落下防止といっても私の腰までの高さしかなく、乗り出せば危険なのだが、そこはもう高校生なのだなら自己責任ということなのだろう。