その時の同情の白々しさは、
今も鮮明に覚えている。

それからは、目立たないように、
影を薄くして、
外見も変えて、
性格も偽って。

そうして暮らしてきた。

そんな私には、気に食わない
クラスメイトがいる。

「おはよっ!雛森っ!」

そう。こいつである。

この男子は原谷真涼くんというらしい。

「原谷くん。おはよう」

めんどくさいと思いながらもなんとか
挨拶を返した。

なんであいさつを返したかと言うと、
以前無視した結果、一日中追いかけ
回されたからである。

今も横から昨日のドラマがどうとか、
今日テストやばいとかいろいろ
言っている…言って…

「テスト!?」

え、嘘っ今日だったの!?

なにも勉強してない…おわったな、私

「えっ、雛森も?やったーお揃いっ」

呑気な。

「やったーじゃないよ。どうしよ…」